ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016に行ってみた。
2016年3月8日 16:05
350 Views
2016年2月28日に「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」に行ってみました。
私が観たい作品は10時開演だったため、札幌駅を8:01に発車する帯広行「スーパーとかち1号」に飛び乗りました。
「スーパーとかち」に使用される車両はキハ261系1000番台の特急気動車。北海道の雪の中、力強く颯爽と駆け抜けます。
今回は自由席に乗車しましたが、室内は電車特急と変わらない快適な造り。
地元九州を走る特急気動車と比べてもクオリティーは負けていませんし、観光列車ではないことを考えると、上回っているかもしれません。
ちなみに、指定席になるとグレードアップされた座席になり、より快適に移動することができます。
札幌を発車し新札幌、南千歳の順に停車しますが、南千歳からは新千歳空港からのお客さんがたくさん乗車してきました。自由席が満席となり、立ち客がでているほどです。「スーパーとかち」がこんなに混雑することがあったかなぁ。と思いながら石勝線を駆け抜けると、夕張線への乗換駅である新夕張に到着です。
新夕張のホームに降り立つと、そこには夕張行普通ワンマン列車(1両)への乗り換えを急ぐ大勢の姿が。
ほとんどの方が大きな荷物やキャリーバッグを引いており、新千歳空港から乗車されたものだと思われます。
私は夕張に1回/月は所用で通っているのですが、新夕張駅にこんなにたくさんの人の姿を見るのは初めてです。
さらに、新夕張駅にはこんな車両が止まっていました。
除雪車です。今までのラッセル車に比べると簡易的な造りですが、機関車の操縦者免許が必要でないため、各所に配置されているようです。このような車両も雪国ならではかもしれませんね。奥には夕張行の普通列車が止まっています。
スーパーとかちからの大勢の乗客を乗せた列車はゆっくりと新夕張駅を発車しました。
夕張行普通ワンマン列車(1両)の車内です。
通常なら数人しか乗っておらずどこでも座り放題ですが、今回は違いました。ほとんどの方が映画祭に行かれるようで、車内は活気に溢れていました。
かつての夕張はきっとこんな感じ、いやこれ以上だったのかもしれませんね。
感慨深い気持ちで列車に揺られ、新夕張から所要時間27分で終点の夕張に到着です。
完全行き止まりの末端駅。現在は無人駅で、炭鉱で栄えていた面影はありません。
しかし、今回は違います。夕張駅に大勢の人の姿がありました。
お土産袋を提げた人、キャリーバッグを引く人、もちろん地元の方々も。
普段の様子を見ているだけに、嬉しいですね。
ちなみに札幌からの所要時間は約1時間30分ですので、夕張市は意外と札幌から近い場所なのですよね。
さて、私がゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016で気になったイベントというのは、「第31回鹿ノ谷ゼミナール特別編 夕張アーカイブス」です。
主催者曰く「映画祭の中で最も地味なイベント」とのことでしたが、50から60人以上の方が訪れており、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。
夕張アーカイブでは2本の映像が上映されました。
1本目が若手女性監督の「鉱-ARAGANE-」、2本目が「1980年代の夕張」です。
「鉱-ARAGANE-」はボスニア・ヘルツェゴビナにあるブレザ炭鉱の様子を撮影したドキュメンタリー映像。炭鉱とはどういうところなのか、何をしているのか。ただひたすらに、淡々と作業している様子が映し出されています。映画用に演技やセットを準備しているわけではないので、坑内の明かりは作業員のキャップランプのみで、坑内がいかに暗く狭く、厳しい環境なのかがよく分かります。
また、そこで働く方々の人間模様も映し出されていました。冗談や文句を言い合いながら作業をしたり、災害が発生した後の対策がどうなっているのか監督者に問い詰めていたりと、炭鉱や炭鉱で働く方々の真の姿を知ることができました。
日本の炭鉱でも同じような感じだったとの話も聞けたため、とても勉強になりました。ただ、68分間淡々とした映像が流れているため、寝ている方が多々いらっしゃったのも事実ですが(笑)
2本目の「1980年代の夕張」は、夕張市の倉庫から出てきたVHSやベータのテープを編集したもので、炭鉱から観光へシフトした時代の夕張が映し出されていました。
現在は廃墟になったり更地になってしまったりしている石炭の歴史村やアドベンチャーファミリーといった施設が活気に満ち溢れ、巨大な駐車場がほぼ満車という状況に驚きました。この当時の夕張が、生き残るために必死だったことを改めて感じました。
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016について私なりの感想を言わせていただくと「最も身近な映画祭」だと思います。
気構えることもなく、「ちょっと映画でも見に行ってみるか」といった感覚で行ける、さらに夕張という地に赴くということが、非日常の感覚をより一層高めてくれるものだと感じました。主催者とお客さんが一体感となり完成される映画祭。
来年は、今年よりさらに多くの方々に訪れていただければ嬉しいなと思い、ご紹介させていただきました。
【参考URL】
・ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016
http://yubarifanta.com/
・鉱-ARAGANE-(予告動画)