マスオ。の、リアル孤独のグルメシリーズ!「Vol1.岩見沢の西谷食堂さんで食べてみた」
TV東京の人気ドラマ『孤独のグルメ』を愛するライターマスオ。が、リスペクトを込めて五郎さんの気分で北海道のグルメ店を食べ歩く!マスオ。のリアル孤独のグルメシリーズ、スタート!
北の大地を一人旅で動き回る、孤独の旅好きライター。
今回はどこに降り立ち、どこのお店に行こうか…
飯を食べろとのお告げか、岩見沢駅でまさかの列車運休。
旭川をお昼に出る特急ライラック号に乗り、一路札幌に向かっていた。
岩見沢駅特急列車を降り、接続する普通列車に乗り換え…のはずが、札幌圏降雪の影響により接続の普通列車が運休。その次の列車は、まさかの一時間後。
おいおいおい、次の予定もあるのに困るなぁ。一時間待つしかないのか? 他に手段は? と考えたが、慌てたところでどうにもならない。
旭川を出るときに急いでいたことから、お昼ご飯の存在を忘れていた。どこかで食べる予定も考えていなかったし、これは岩見沢で何か食べろというお告げなのかもしれない。
1時間も待ち時間があるのだから、駅前を歩けば何かあるだろう。
岩見沢駅前で見つけた「西谷食堂」
岩見沢は北海道の中でも大雪が降る地域として有名である。
この日も例外でなく、駅前には私の身長より高い雪壁が連なっていた。
また、岩見沢は鉄道の要所としても栄えてきた街である。幌内炭鉱をはじめとした空知炭田で産出された石炭輸送の列車が行き交い、岩見沢から札幌・小樽方面と苫小牧・室蘭方面へ分岐するターミナル駅でもあり、かつては空知運転所という電気機関車やディーゼル機関車の広大な車両基地も存在していた。しかし、時の流れにより石炭輸送や車両基地は無くなり、函館本線の主要駅と室蘭本線の起点駅としての役割として存在している。
そんな鉄道の要所であったことから、駅前には昭和の雰囲気が感じられる建物やお店を見ることができる。個人的におしゃれなカフェより昭和感あふれるお店が好きなのだが、ここならいい感じの店に出会えそうだ。期待に胸を膨らませて駅前を歩くこと3分。
あるじゃないの、“西谷食堂”さんが。
昭和感満載の見るからに入りづらい雰囲気。
入りづらいからこそ入りたくなる。暖簾も出ていることだし、ここでお昼を食べよう。
だしの香り漂う店内。かつ丼がうまいと確信して注文。
店の扉を開けると、店の奥から2人のおばあちゃんが「いらっしゃい」と声をかけてくれた。
おぉ。これだよ、これ。つくった昭和ではなく当時からの昭和。昭和しか感じることがないこの空間。そして、何よりも感動したのは店内にひろがるだしのいい香り。幼いころに福岡の馴染みのごはん屋さんで感じていた香りとそっくりだ。これは、間違いなくうまいと確信。
生そばを推している感もあるのだが、幼いころの記憶を思い起こすと、このだしの香りだとかつ丼が絶対うまいはず。迷わず、かつ丼を注文。
おばあちゃんが「お待たせ~」と持ってきてくれたかつ丼は、使い込まれたどんぶりがいい味を出しているじゃないか。もう、蓋を開かなくてもうまいのがわかる。
蓋を開けば、ほら思った通り。だしの効いた甘い香りが拡がり、とんかつにまぶされているコショウがキュッと甘い香りを引き締めているようにいいアクセントとなっている。
一口食べれば、もう止まらない。次から次に箸が進んでいく。
それにしても、このお米。めちゃくちゃうまい。
一粒一粒が立っているのが分かる。お米が立つという表現はよく聞かれるが、これは本当にお米が立っている。分厚めのとんかつも美味しいのだが、このご飯にかつ丼のタレと卵が絡んでめちゃくちゃうまい。
岩見沢にこんなうまいかつ丼があったとは。脱帽ものだ。
お汁も優しい味つけで、お口直しにバッチリ。お汁の中に入っているかまぼこに施されているひと手間が嬉しくなるじゃないか。
米一粒も残さず完食。ごちそうさまでした。
一時間の足止めでどうなることかと思ったが、むしろこの待ち時間に感謝しないとな。
西谷食堂さん、美味しいかつ丼をありがとう。またきます。
西谷食堂
北海道岩見沢市一条西4-13