【VITA-01】2018 北海道クラブマンカップレース第2戦に参戦してみた
2018年8月6日 13:46
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参戦情報
2018年 北海道クラブマンカップレース第2戦(JAF公式戦) 開催日:7月22日 開催地:十勝スピードウェイ 参戦クラス:VITA-01 Car No.9 チーム:十勝レーシングスクール 車両名:十勝レーシングスクールTAKUMI01 Driver:鬼塚 益生(サラリーマン・レーサー)予選
気温約30℃。 北海道にしては暑い気候となり、各チームのドライバー・スタッフは汗だくになりながらの作業となっていた。マシンにとってもドライバーにとっても厳しい戦いとなることが予想された。 前回のレースにおいて他車とのクラッシュにより破損していたマシンも、多くの人の手を借りて自力で修復することができた。この場を借りて感謝申し上げたい。 懸念されていたサイドストラクチャーも、ウエストレーシングカーズから新品が届き、ボルトオンで簡単に交換することができた。これで戦いの準備は整った。 気温と湿度の関係から、第1戦に比べエンジンパワーは確実に落ちていることが感じられ、いつものタイムに比べると伸び悩む感があった。しかし、参加者全員が同じ条件であるため、何も言い訳はできない! 確実にタイムを残しておいて、最終アタックに向けてピットインしマシンセットを確認。 ピットアウトし、いざアタック!・・・とはいかず、度々発生するエンジンの息つき症状が出てしまい、最もおいしいポイントを逃してしまった。残念ながらその時点で予選終了。 決勝に向けて不安の残る結果となってしまったが、現状でやれることを全力でやるしかない! 【予選結果】5位/11決勝
12Lapで争われる決勝。 コースオープンとなり各車ダミーグリッドに整列! VITA-01が11台、ザウルスJr.が5台、計16台の混走で争われる。 【スターティンググリッド】 1周のフォーメンションラップを終え、再度グリッドに着く。 5秒前が表示されるまでの待ち時間はとてつもなく長く感じ、最も集中力が高まる時間。 5秒前→赤ランプ→滅灯(スタート!) スタートは無難にこなし、1コーナー進入で♯3古井戸選手をパスし4位へ浮上。 しかし、古井戸選手もピッタリマークしてくるため応戦の走りとなってしまい、トップ3台と差が開いてしまう。さらに、翌周のストレートでスリップにつかれ、1コーナー進入で抜かれてしまった。 トップ争いをしていた♯61平中選手がマシン不調によりペースダウン。その間に♯11今野選手、♯88坂野選手、♯3古井戸選手の3台が抜け出し、トップ集団としてバトルを展開。 私もその集団についていきたかったが、♯61平中選手をパスするのに手こずってしまい、トップ集団とはかなりの差が開いてしまった。 さらに、バトルを展開しているうちに後ろから♯310石崎選手、♯777大島選手も追いついてきて、3台から4台のバトルになる場面もあった。 どうにか♯61平中選手をパスすると、後続との差を広げにかかる。自分の走りに徹しトップ集団を追いかけるも時すでに遅しの状態。 しかし、レースは最後の最後まで何が起きるかわからないと信じ追走をしていると、最終ラップの最終コーナーでものすごい砂煙が舞い上がっているのを発見! 一台のマシンを視界に捉えるも、あと一歩及ばすチェッカー。 終始我慢のレースとなってしまったが、無事に4位チェッカーを受けることができた。 【決勝結果】4位/11 【決勝レース 正式結果】 【VITA-01】 レースを制したのは♯11今野選手。終始3台での白熱したバトルを展開し、勝利をもぎ取った。 「今回から新型エンジンに載せ替えてのレースで、今までに比べストレートで勝負ができ、抜いた後も安心して走ることができたのでよかった」と語っていた。 VITA-01はこれまでと同じエンジンの調達が難しくなってきたことから、同型の新型エンジンへシフトしている。同型とはいえ、話によるところパワーがあったりトルクがあったり最高速が伸びたりと、良い話を耳にする。 新型エンジンの今後の実力が気になるところである。 優勝:♯11 今野 訓昌 さくら眼科十勝スクールVITA 2位 :♯3 古井戸 竜一 さくら眼科☆OWL with RS-α01 3位:♯88 坂野 研 OPTech☆東北海道ヤナセVITA01 【ザウルスjr.】 予選P.P、ファステストラップ、そして優勝の「完全優勝」を成し遂げたのは、♯135阿部選手。 ライバルが予選からトラブルに見舞われていたとはいえ、確実にポイントを積み重ね、ポイントランキング同率の首位となった。 ザウルスJr.のチャンピオン争いも目が離せない! 優勝:♯135 阿部 晃太 トバコス☆お酒を飲んだら南郷代行☆Jr. 2位: ♯16 五十嵐 弘昌 さくらJr. 3位: ♯33 吉田 哲也 十勝レーシングスクールJr.2レースの風景
PHOTO:Koshido Racing PHOTO:STEP ENGINEERINGレースの裏側を覗いてみよう!
レースというと皆さんはどのようなイメージをお持ちだろうか? ドライバーがコース上でバトルをして順位を決め、表彰台でシャンパンファイト! どうしてもドライバーだけが注目されてしまうスポーツであるが、ドライバーが走るまでには様々な出来事が起きている。 そんな普段は意識していない十勝における「レースの裏側」を見てみよう!ドライバーに情報を伝える唯一の手段
コース上を走っているドライバーにどうやって情報を伝えるのか? F1やSUPER GTといったトップカテゴリなどでは無線を使っているが、私たちのようなアマチュアレーサーで無線を導入しているチームは少ない。 また、無線は故障する可能性もある。そのため、トップカテゴリであっても必ず「サインボード」の提示による情報伝達は必ず実施されている。 古典的かもしれないが、最も確実な手段といえる。 各チームがピットウォールからサインボードを提示するわけがだ、ドライバーは時速150㎞/h以上のスピードで走行しているマシンを運転しながら瞬時にその内容を確認しなければならない。 そのため、各チームともドライバーがすぐに認識できるよう工夫をしていることから、チームによるサインボードの作り込みや提示方法を見ていくのも面白いかもしれない。トラブル発生!作業は時間との闘い!
モータースポーツは「車」という道具を使ってのスポーツであるが故に、壊れてしまうこともある。 対処可能であれば治すが、不可能であればその時点でリタイアが確定する。 今回のレースでチームメイトの♯33吉田選手のザウルスJr.が予選中にエンジンブローを起こしてしまった。 ピットに戻り確認したところ、シリンダブロック~クランクケース~オイルパンにかけて穴が開いてていた。コンロッドが折れたことにより穴が開いてしまったものと思われる。 残念ながらここまで・・・と誰もが思っていたが、予備のエンジンが眠っていることがわかり、事務局に確認したところ嘆願書の提出ができればエンジン載せ替えにより出走可能とのこと。 気温30℃の中、チームクルー一丸となってのエンジン載せ替え作業が始まった。 やると決まればあとは時間との闘い。刻一刻と迫る決勝スタート時間に向け、十勝レーシングスクールチームの小谷監督、敏腕ラリーメカニックの涌井さんを中心に、手際よく作業が進む。 チーム全員が見守る中、作業時間2時間弱、コースイン20分前に作業完了。エンジンも一発で始動!嘆願書も正式に受理され、♯33吉田選手は無事にレース出走が可能となった。 作業後、「うわぁ!疲れたー!」と悲鳴にも近い声を上げていた小谷監督と涌井メカ。 しかし、その疲れた表情の奥にはやり切った安堵感も滲み出ていた。 ドライバーが無事に出走するために、メカニックの方々は全力でサポートしているのである。ドライバー同士の人間模様
個人戦として争われている北海道クラブマンカップレース。チームメイトと言えどコースインすれば全員がライバルとなる。 しかし、共に十勝のレース・VITA-01&ザウルスJrレースを盛り上げ、楽しんでいる仲間だ。 出走前にはチームメイトに声をかけ士気を高めあったり レース後にはライバルでありながら互いの健闘を称えあったりと チーム間の考え方や取り組みに対する意識の違いはあるかもしれないが、 十勝のVITA-01&ザウルスjr.レースに出ているドライバーは“良いライバル関係”が構築されているように感じる。若手育成プロジェクト
モータースポーツ界(特にアマチュア)が直面している課題として「いかにして若者を取り込むか」ということが挙げられる。 北海道・十勝のレースにおいても例外でなく、深刻な課題だと捉えている。 私がお世話になっている「十勝レーシングスクールチーム」を例に挙げると、基本は小谷監督が一人ですべての作業をこなしており、レースの時だけ有志に協力を依頼して手伝ってもらっているのが現状だ。(その有志も、本業の傍らで参加してくれているため、必ず手伝いに来てもらえるわけではなく、常に流動的である) 私自身、サラリーマンとして働きながら趣味としてレースをしており、「ドライバー」兼「メカニック」兼「チームスタッフ」兼「チームマネジメント」兼「広報」と、小谷監督の負担を少しでも軽減できるように、そして多くの人にレースのことを知って楽しんでもらえるように活動しているが、一人でがんばっていても結局は同じことだ。 このような状態が続いていては将来的にレースが出来なくなる可能性もありうる・・・ということで、ザウルスJr.で活躍している大学生ドライバー「♯135阿部晃太選手」に協力を依頼して「学生クルー」の募集を行い、今年の2月から「十勝レーシングスクール 若手クルー育成プロジェクト」をスタートさせた。 呼びかけに集まってくれたのは、短大1年生一人、高校3年生一人、高校2年生一人の計3名。 皆、レースに興味がある!参加したい!という情熱をもってくれており、彼らのような存在をいかに育て上げるかが今後の一つの道標になると考えている。 レースクルーの活動を通じて、学校では学ぶことのできない多くのことを吸収してもらいたい。 そして、次は彼らが周りの人を呼び込み、育てていってもらいたい。 私一人ががむしゃらになっていても仕方がない。 いかにして多くの人を呼び込み、協力してもらい、学び・自主的に「考動」してもらうか。 受け身ではなく積極的・能動的に。 私が勝手に思いを馳せていることだが、モータースポーツを通じた「人財育成」も可能である。 まだまだ始まったばかりのプロジェクトであるが、10年後の北海道のモータースポーツが今以上に盛り上がっている姿をイメージして推進していく。 今はすべての取りまとめを基本的に一人でこなしており大変ではあるが、、、軌道に乗るまでの踏ん張りどころである! 応援、ご協力は大歓迎です!いかがだっただろうか? レースと一言で言っても、その裏では様々な出来事や取り組みが行われている。 ここに紹介したのはあくまでも一例であり、他のチームやサーキットなどにおいても様々な活動が行われている。 コース上を走るマシンだけでなく、ちょっと視点を変えてみると、また違った面白さが発見できるかもしれない。