シアターキノで「華氏119」を見てみた

2018年11月13日 18:11 1,317 Views
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マイケル・ムーアの最新作「華氏119」をシアターキノで見てきました。

「華氏119」とは

アメリカのドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーアの最新作「華氏119」。 映画の公式HPはこちら。 https://gaga.ne.jp/kashi119/ この119とは、2016年11月9日、ドナルド・トランプがアメリカ大統領選の勝利を宣言した日のこと。 彼を支持しているのは、国民の中でも限られた人々のはずなのに、なぜトランプ大統領が生まれることになったのか?を分析しています。マイケル・ムーアは大統領選挙前に「トランプが大統領になる」と予言した、数少ない有識者のうちの一人でもあります。 トランプ大統領の発言や態度への疑問だけでなく、アメリカの教育問題、水の汚染問題、銃社会についてなど、いろんなテーマを様々な映像と彼自身のナレーションでつないでいきます。 作品の中で、アメリカの世論調査の結果がいくつか紹介されているのですが、一番驚いたのは、アメリカ国民の多くの方が銃規制に賛成なのに、政権の動きはそうはなっていないこと。銃を所持する人は全アメリカ人のたったの22%。ほとんどの人が銃を持たず、規制を求めているにも関わらず、その少数派の人々が熱心にトランプ大統領を支持しているために、銃規制ができないそうです。 今回の中間選挙にて、話題になった候補も、取り上げられていますので、背景がわかってニュースの理解が深まりました。 圧倒的な映像と情報量。正直まだ内容を消化できていません。 といっても、彼の映画は笑えるところも多く、上映中も観客席からはたくさんの笑い声が聞こえてきました。 笑いつつ、滑稽な点を鋭く突っ込み、時折現実の重さに心がどーんとなり、若者や女性の活動に希望を見る…という、観客としての感情が忙しい作品でした。 「祈ることは心に平穏を与え、安心する。しかし世界は変わらない。行動せよ」 「人があきらめて、投票に行かなくなると、独裁者がうまれやすい」 という言葉が心にしみました。 決して難しすぎないのが彼の作品のユニークなところ。ドキュメンタリー作品って難しそう…と、かまえずに、たくさんの方に見てもらいたいです。決してアメリカだけの問題ではないですから。

さらに深く知りたい方は…

作品中、2018年2月に起こったフロリダ州、高校銃撃事件の生存者、エマ・ゴンザレスさんという女性が銃社会に抗議のスピーチをする場面が出てきます。その中で彼女は数回「BS」と言っているのですが、それは「Bull Shit」=牛の糞の意味で、ここでは嘘っぱち、でたらめ という意味だそうです。ただ、Bull Shitは汚い言葉で、TVニュースで放送できないため、BSと言っているそうです。 「We call BS!」=「そんなの嘘っぱちだ!」という意味で、今年アメリカの流行語にもなっていたそうです。 そして、この作品を見た後、さらに深く知りたい…といった方へ、映画評論家の町山智弘さんの、映画解説(有料)もあります。 約200円で1時間ほどの音声解説が聞けるので、パンフレットを読むより手軽。私は気になった作品があると購入しています。 https://tomomachi.stores.jp/items/5bdd5a0c5496ff6034000b84?fbclid=IwAR2f5_n9or6Tcnhp5ZRfY_AZocVc-FJRcBUR1UW4xAiWzNzOtveiYSgQ34I YouTubeにも映画解説の音声動画がたくさんあります。今はいろんな方法で知識を深めることができますね。 また、アメリカという国についてもっと知りたい…という方には、同じく町山さんの 「町山智弘のアメリカの今を知るテレビ」(BS朝日)という番組もおすすめです。 アメリカのユニークな場所、選挙について、銃規制問題など、多岐にわたってとりあげられています。クレイジーな内容の日と、感動的な内容の日の落差がものすごい番組でもあります。 「町山智弘のアメリカの今を知るテレビ」(BS朝日) http://www.bs-asahi.co.jp/machiyama-now_cnn/ マイケル・ムーアの作品、他にもたくさんあります。 「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」がおすすめなのですが、この作品は、彼が世界を飛び回り、教育の質、宿題、給食、女性の政治進出、死刑制度、有給休暇…などについて取材したもの。パートがいくつかに分かれているので、短編小説を読むように見ることができます。子育て中の私としては、子どもの宿題と給食のパートがとても興味深かったです。 ちょうど今アマゾンプライムビデオで公開中。もしプライム会員でしたら、すぐに見ることができます https://amzn.to/2RCKFEE 気になる方は、チェックしてみてくださいね。

シアターキノ

そして、シアターキノ!(この写真は狸小路側の入口です。) 洋画好きな私。札幌に引っ越してくる前は旭川にいたのですが、 「この洋画(いわゆる大作ではないもの)ぜひ見てみたい、北海道で上映しているか?」と調べると、たいてい唯一の上映はシアターキノ。そして、旭川当時、私の周りのステキな方々は、「キノで映画を見るために札幌に行ってきた」と教えてくれることが多かったのです。 勝手に憧れて訪れてみたかった場所。すでに春に映画館は訪れ、場所は確認していたのですが、ここで映画を見たのは初めてでした。嬉しい! フロント周辺、映画の紹介は映画への愛と熱が伝わってきて。壁のサインもいろんな方のものがあって、ワクワク。ここれだけ多くのジャンルの作品を上演してくれるなんて本当に素晴らしいこと。 壁に「こまねこ」ちゃん、発見! 2階の映画館入り口前。今なら、このお2人も…。

ファーストショーを見るときは

今回の「華氏119」はファーストショーの割引にて1200円で見てきました。 シアターキノには2か所入口があるのですが、最初、資生館小学校側の入口に行きましたら、 「上映の15分前に、狸小路側の入口から開けます」 とのお知らせが。ファーストショーに行かれる方は、狸小路側から入って、並んで待つようですのでお気をつけて。 その代わり、資生館小学校側の階段、廊下の壁には、大きく引き伸ばされたステキな写真が。もしかして?とスタッフの方に聞いてみると、映画の一場面だそう。 タルコフスキーの「ノスタルジア」 ゴダールの「女と男のいる舗道」 忙しい中、丁寧に教えていただきました。(写真の撮影許可もいただきました) 隣には居心地のよさそうなカフェ「kino Café」も。映画後に、カフェで映画談義できたら、最高ですね。 シアターキノの上映スケジュール、リーフレット。 シアターキノでは、監督を呼んでのイベントや、映画の内容と合わせてのトーク、映画祭なども行われているそう。 年会員がお得など、HPに情報いろいろありました。 遠方からわざわざ見に行く価値がある、ここでしか見られない作品を上映してくれる場所。大切な場所として、ぜひこれからも通いたいです。 シアターキノ https://www.theaterkino.net/
Web担当者は忙しい こうなる前に、頼ろう。
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愛知出身。人生16回目の引越しにて、2018年春から札幌住まい。好奇心いっぱい。大自然に感動し、歴史にまつわる場所でガイドさんと話し込み、珍スポットも大好物。もっと札幌を味わえるように、外から&住民としてのWの視点でお伝えします。

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