(エセ関西弁はいろいろな人から怒られそうなので、タイトルだけにしておきます…)
学生時代、関西に住んでいたときのこと。
地元・北海道を離れて「異国の地」で暮らす中で、ときどきふと、故郷の味が懐かしくなる瞬間というのがあった。
そして、そういうときはたいてい若干の寂しさ、心細さなんかも同時に押し寄せてきて、「ここでやっていけるのだろうか…」と不安になったりしたものだ。
そんなとき、身近にある「札幌ラーメンの店」にラーメンを食べに行ったり、百貨店の北海道物産展で北海道名物を買ったりすると、お腹と心がいっぺんに満たされるような、妙な安心感を得ることができた。
……なーんていうイイ話を冒頭からしておいてなんだけども、付け加えておかなければならない事実がもう一つある。
残念ながら、だいたいの「札幌ラーメン」は僕が食べたいそれではない。ほとんどが「札幌"風"」で止まってしまっているのだ。
お腹と心は満たされても、舌までは完全に満たされない。
だからこそ、たまに札幌に帰ってきたときに食べる味噌ラーメンの美味しさが際立つというものなのだが、どうせなら日常的に美味しいものが食べたい。
きっと、今も内地に住む道産子たちは同じことを思っているのではなかろうか。
これはきっと「逆も然り」だろう。
関西出身で札幌に住んでいる人もまた、故郷の味が恋しくなるはず。
僕にとっても4年間を過ごした「第二の故郷」であるから、たまに学生時代の思い出の味が懐かしく思い出される。
そやさかい、近年相次いで札幌への進出を果たした「餃子の王将」と「天下一品」に行ってみてん。
あ、すいません。行ってみた。
美味しいのは餃子だけじゃない!身近な中華料理屋「餃子の王将」
札幌で「餃子」といえばみよしのである。
餃子の王将が札幌に初出店したときに、「強力な餃子のライバルが来た…」と心配した人も、もしかしたらいるかもしれない。
でも、関西の人的に王将は「餃子を食べに行くところ」ではなく、「中華料理を食べに行くところ」。
たくさんある中華のメニューのひとつに餃子がある、という感じだ。だから、みよしのと直接ぶつかり合うことはない。
みよしのには、カレーもあるしね。
チェーン店でありながら、店舗ごとにオリジナルのセットが用意されているのが餃子の王将のユニークなところ。
もはや餃子どころか中華の要素も薄れてるけど……まぁ、ええねん。
◇
さて、「餃子の王将と僕」だが、正直に言うとそんなに頻繁に訪れていたわけではない。
お腹いっぱい好きなものを食べるとなると、貧乏大学生にはちょいと良いお値段になってしまうからだ。
だから、王将に行ったのは社会人の人とやっていたバンドの練習後の食事か、大学の友人がどこからか入手してきた「餃子無料券」をくれたときくらいだった。
そのときによく頼んでいたのが、「餃子1人前」と「天津飯」の組み合わせ。
何故、特別好きでもなかった天津飯を選んでいたのかはよくわからないが、そこまでお高くならず、しっかりお腹いっぱいになり、しかもちょっと贅沢な感じ、というのが当時の自分にちょうど良かったのだろう。
社会人になってから食べるこの「黄金コンビ」も、変わらず美味しかった。
ふわっふわの卵にたっぷり絡む甘酢あんの美味しさが、飽きもせず同じものを頼み続けた理由だったのかもしれない。と、今になって思う。
ただの「餃子のお店」と侮るなかれ。
美味しい中華料理を食べに、ぜひ足を運んでみて欲しい。
身体に沁みるこってりスープ!「天下一品」
学生時代に住んでいたアパートから歩いて5分ほどのところに、天下一品の店があった。
古くて、狭くて、ちょっとだけ小汚い店だった。
本当はその隣にある小洒落たパスタ屋の方が色々と思い出があるけど、今日はラーメンの話を続ける。
そこで初めて食べた「こってりラーメン」のスープは、身体に沁みるような優しく、まろやかで、しかしパンチのある味。
札幌では出会ったことのない初めての感覚に夢中になり、気づいたらスープを全て飲み干してしまっていた。
器に書かれた文字を二度見してしまったのも、この店が初めてだった。
◇
札幌に天下一品ができると聞いたとき、個人的には餃子の王将の進出よりも何倍も嬉しかった。
この思い出の味こそ、ここでしか食べることの出来ないものだからだ。
しかしまぁ…
ずいぶんおキレイになられて…
サラダバーならぬ「薬味バー」なんて、関西で見たことがない。
なんてグチグチ言いながらも、九条ねぎモリモリでスタンバイ。
オーダーはもちろんこってりで、にんにく入り。
店が変わっても思い出の味は全く変わらず、あのときのまま。
京都のラーメンの特徴である色白なストレート麺に、これでもか!とたっぷり絡みつく鶏ベースのこってりスープはやみつきになる。
この味に、札幌でいつでも出会えることに感謝したい。
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地元にいるときは特別意識しないチェーン店も、所変われば貴重な故郷の味。
同時に、その地域出身ではない人にとっては、知らない土地の食文化に触れることが出来る場となる。
僕は47都道府県全てを回り、様々な美味しいご当地グルメを食べてきたが、日本には本当に多様な食文化がある。
そして、それはその場所で食べるのが一番美味しい。
しかし、全ての人が全都道府県に行こう!と思っても、行けるわけではないだろう。
だからこそ、餃子の王将や天下一品のように、他地域に進出してきてくれる「ご当地グルメ」は、全ての人にとって貴重な存在なのである。
「気にはなっていたけど、まだ行ったことがない」という方は、ぜひ足を運んでみて欲しい。
きっと、素敵な出会いが待っているはずやで…!