2022年「北海道クラブマンカップレース第1戦」に参戦してみた!-サラリーマン・レーサーマスオ。のレース参戦記-
十勝でレースをするために福岡から北海道に移住した『サラリーマン・レーサー』マスオ。の孤軍奮闘レース参戦記!
九州男児の意地、見ときんしゃい!
2022年は再出発の年!
私のモータースポーツ活動は20歳の時、2007年の十勝レーシングスクールから始まり、今年で15年、JAF公式レース参戦は2013年からであるため、今シーズンで10シーズン目を迎えることとなった。
公式レースは「十勝レーシングスクールチーム」からの参戦体制としていたが、今年から大きく変わることとなった。十勝レーシングスクールチームは実質的に活動休止状態となり、個人参戦というカタチをとらざるを得なくなってしまった。
個人参戦というカタチとなるわけだが、十勝レーシングスクールチームからサポートを受ける面もあるため、2022年シーズンの参戦体制としては
『TEAM ONIZUKA with 十勝レーシングスクール』
と銘打つこととして、JAF公式レース参戦10年目となる2022年は、私のレース活動の再出発の年としての位置づけとなった。
家を出たのは朝4時半!レース活動は常に全力!
日曜日のレースに向けて、公式練習日でもある土曜日からサーキット入りするのが一般的だが、家を出る時間がめちゃくちゃ早い。4時半(笑)。
こんなに早いと、もう笑うしかない。眠いだのきついだの言っている場合でもないから、とにかく安全運転でサーキットへ向かわなければ。札幌~十勝スピードウェイまで片道約250㎞の道のり。所要時間にして約3時間~3時間半。レース前から常に全力で向かっていかないと、体力も気力も持たないわけだ。
全力で挑むが、無理はしない。それが今シーズンの活動方針。
サーキットに到着したのは午前八時半。途中、高速道路が工事通行止めだったため、下道を通る必要があったことから、思った以上に時間がかかってしまった。
サーキットのガレージに保管している車を引っ張り出す必要があるのだが、デフサイドシールの交換を行っていたため、動かす前にミッションオイルを補填しなければならない。工具を使いオイル給油口を開け、不足分のミッションオイルを給油。これでやっと動かせる状態になった。
レースで使用するピット設営のため、サーキットのガレージで保管しているマシンを移動させたり道具一式を運んだりしなければならない。朝9時半から最初の公式練習走行枠があるのだが、急げば間に合う。しかし、かなりバタバタとなってしまう。
レースに出場する以上、勝つことを目標に取り組むわけだが、勝つ以前に継続したレース参戦が目的であることを考えると、参戦体制が変わった今シーズンは「全力で挑むが、無理はしない」という活動方針のもと、取り組みこととしている。
9時半となり、ライバルたちが練習走行をしている中、サポートメカニック1名と私の計2人で、せっせとピット設営をしていた。
公式練習でスピン!しかし、フィーリングは悪くない。
2本目の公式練習は11時40分~であるため、そこに向けて走行準備を整える。ガス給油、タイヤのトルクチェックに空気圧設定、カウルの取付状態確認、各油脂類の状態確認、走行前の暖機運転、走行チケットの購入・・・走行に向けてやることはたくさんある。
あとは、それぞれの走行枠に対しての課題を明確化して、どのように走る必要があるかを考えなければならない。その課題に対して、タイヤ選択やマシンセットの変更、走行ペース、ピットインのタイミングなどを細かく決めていく。
そうこうしているうちに11時40分となり、公式練習コースイン。
練習で新品タイヤを使うわけにはいかず、昨年のレースで使用した中古タイヤで走ることとした。かなり使い込んだタイヤであるため、残溝は少なくゴムも硬化しており、タイムを出せる状態ではない。しかし、課題を明確化することにより、このタイヤでも十分活用することができるわけだ。
30分間の走行枠を順調にこなし、残り5分を切ったところで痛恨のスピン!グラベルにハマり脱出不可能となってしまい、レッカーにて救出してもらった。スピンした原因は、単純にドライビングミス。一瞬の気のゆるみからブレーキングのタイミングが僅かに遅れてしまい、若干のオーバースピードでコーナーに進入。さらに、タイヤの摩耗限界もきていたこともあり、グリップを失いスピンしてしまったのだ。
マシンにダメージはなく、13時40分からの走行枠も無事に走ることができた。
公式練習は2本で終了することとした。
サポートメカと私の2人で全てのことを済ませる必要があるため、余裕の持てる範囲で取り組むこととしている。いつもなら、18時過ぎまでピットで作業をしているのだが、今回は16時過ぎにはすべてが終了。レーサーとして活動し続けるためにも「全力で挑むが、無理はしない」。このことを常に意識してやっていこう。
いよいよ迎えた開幕戦レース当日!
車検時刻がまさかの7時10分(泣)
ホテルのチェックアウト時間が6時になるため、朝食バイキングにありつけないのが残念。レースの朝は基本的に早いので仕方がないことではあるのだが。
帯広市内からサーキットまで約40分。到着次第、すぐに車検に向けて準備をする。車重約600kgのマシンを車検場まで手で押して移動させる。この作業が地味に疲れるわけで、この時だけでもサポートしてくれる人を求む(笑)
無事に車検を通過し、レース参戦可能の証である車検合格ステッカーを貼りつけてもらう。
予選前に、ドライバーブリーフィングが行われる。レースに関する注意事項などの認識合わせをする場であり、予選前のドライバー全員が揃うため独特な緊張感が漂う。
ブリーフィングが終わると、予選に向けて気合が入る。このタイミングでトイレに行くことが多いのだが、考えていることは皆同じようで、トイレで顔を合わせる(笑)
さて、予選がんばるぞ!
予選 8位/18台中
開幕戦のスターティンググリッドを決めるための予選は20分間で行われる。旧型エンジンとしてどこまでいけるかなぁと考えながらも、2022年シーズンに向けて変更したマシンセットを信じてコースイン。NEWタイヤのフィーリングもよく、タイムを出せそうな予感。
しかし、思っていたよりマシンのアンダーステアが強い。ステアリングを握る力が想定しているより強くなっている。体に力が入り、無理矢理コントロールしている状態だ。これでは、タイムを出すのは難しい上に、18台のマシンがコース上にいるためクリアラップをとることすら難しい。悩みながらの走りでうまくまとめることができず、8位で終わった。悔しい!
決勝 5位/18台中
決勝は8番グリッドからのスタートとなり、上位争いをするにはスタートが肝心。スタートは得意でも苦手でもない。なぜかというと「赤ランプが消えたら車を転がせばいい」ということしか考えていないからだ。変に気負うことなく、ランプが消えたらスタート!のルールに従うことだけを考えているため、大して緊張することがない。もちろん、タイヤの熱の入り方や路面状況に気を使っていることは間違いないが、それはフォーメーションラップの時点で感覚で掴むことができるの、グリッドに整列しているときにはクラッチミートどうすべきかは把握できているので問題ない。
そんな感じで、今回も気楽にスタート!見事に決まり、前を行く車に追いついた。1コーナー突入に向けてどのラインをとるか先を見ていると、アウト側にぽっかりと空いているラインを発見!イン側から一気にアウト側にマシンを振り、勝負を仕掛けた。その瞬間、1コーナーイン側で砂煙が巻き上がる!ライバルの2台が接触した!イン側を走っていたマシンは混乱の中にあり、アウトラインをとっていた私はシメシメ!1コーナー立ち上がりの時点で5位にポジションを上げ、そのままオープニングラップを迎えた。
決勝のマシンフィーリングがよい!実は予選の後にセット変更を行ったのだが、それが功を奏した結果だ!思い通りにマシンが動いてくれる。新型エンジンのライバルについて行ける!一途の望みを胸に、バトルを繰り広げる。
しかし、新型エンジンの立ち上がり加速やストレートの伸びはやはり速く、厳しい戦いが強いられている。そうこうしているうちに、スタート直後にパスしていた#310号車にスリップストリームに入られ、1コーナー進入で抜かれてしまい、6位に後退。それでも諦めず、必死について行く。#61号車と#310号車、そして#30号車(私)の3台でバトル。
バトルをしながら、前の2台に離されない程度にタイヤを温存する走りに徹した。勝負所はここではない。勝負は後半戦のタイヤがきつくなった時!この戦略が見事に的中し、タイヤを酷使した#310号車はペースが落ちはじめ、6周目のストレートでスリップストリームに入り、1コーナーを2ワイドで突入!2コーナー進入まで2ワイドが続き、立ち上がりのトラクションを効かせてパス!5位にポジションを上げ、4位のマシンを追い上げる。
4位の#61号車はタイヤを酷使していることが分かり、徐々に追いつくことができ、テールトゥノーズのバトルに持ち込んだ。インフィールドの区間では完全に追い回すことができるのだが、ストレートスピードで勝るライバルを捉えることができず、我慢のレースが続く。相手のミスを誘うようにプレッシャーをかけ続け、要所要所で相手がミスをしていることが分かり、その都度ギリギリまで追い詰める。しかし、抜くには至らない。
ストレートでの最後の一押しが足りず、そのままチェッカーを受ける。
5位入賞ではあるが、4位が見えていた位置だけにとても悔しい!そして、やっぱり表彰台、勝利を掴みたい!
レースをする者として、勝利を目指す気持ちに変わりはないのである。
レースを終えて
新型勢に割って入るレースができたことは一つの成果だと言えるが、こんなことで満足はしていない。
新エンジンに対して旧エンジンの性能が劣ることは事実であり、カバーすることは容易ではないわけだが、新型に載せ替えないのには、お金以外にもこのマシンにこだわる理由があるのです。
それは、ウエストレーシングカーズの故神谷誠二郎氏が直接十勝に持ってきてくれたマシンであるということ。
私のマシンは2013年製の老体ではありますが、神谷さんの想いが詰まったこのマシンでレースに出続けることに意味がある。今シーズンは、十勝レーシングスクールの小谷監督も多忙のためチーム運営から外れ、実質的に個人参戦となりますが、神谷さんから言われた「北海道のVITAを頼んだぞ!」の言葉と十勝レーシングスクール魂を胸に、このマシンと共に私なりのスタイルで参戦し続けます!
次戦、北海道クラブマンカップレース第2戦は7/3(日)開催です!
Photo by Tsukasa
北海道クラブマンカップ
VITA-01 Car no.30
十勝スクール PIKAL VITA
Driver:Masuo Onizuka