6月12日、映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』公開記念 宮藤官九郎監督の公開インタビューが開催されました。会場は数多くのクリエイターを育成する「札幌スクール・オブ・ミュージック&ダンス専門学校」。北海道でクリエイティブ業界・エンターテインメント業界を目指す100名の高校生が集まり、会場は熱気に包まれました。サツッター編集部より公開インタビューの様子をレポートします!

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』について

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公開インタビューは、映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の予告編上映の後、撮影の裏話、構想のきっかけなどについてのインタビューから始まりました。

―宮藤監督 談―
「以前からロックの映画がやりたいなぁと思っていて。ロックの映画だからといって、必ずしも人間じゃなくてもいいんじゃないかと思って。インスピレーションで地獄の真ん中に赤鬼がいて、地獄に落ちてきた高校生を鍛えるイメージが浮かんで。本作品の仮タイトルは「地獄の軽音楽部」だったんです。この時すでに、長瀬くんが赤鬼で、というイメージは決まっていて。それを企画にして各社に持ち込んだのですが、最初は華麗にスルーされましたよ(笑)メールで送ったのに返事もない、みたいな。理解できなかったんでしょうね(笑)もうちょっと詳しく聞かせてくださいみたいな。そこから何回か打合せを重ねて、だんだん映画のカタチになっていったというか。それが大体2~3年前ぐらいかな。
もともと、長瀬くんって日本のジャックブラックっぽいよなぁと思っていて(笑)長瀬くんでロックの映画をやりたいなと思いついたのはもう5~6年前かな。それがこの映画の企画の始まりかもしれないですね。

普通はあり得ないことなんですけど、この映画は地獄パートと現世パートで別々の人に美術をお願いしたんです。昔の日本映画みたいに大きいセットを作っちゃえと思って。そこに実際にセットとして地獄をつくったんです。全部そこで撮影しました。地獄に入ったらキリがない。毎日撮影が。日が暮れてもずーっと地獄にいましたから、みんなちょっとおかしくなってましたね。やけくそな感じになってました(笑)

狙いとしては、「地獄と極楽」という絵本がありまして。悪いことしたら地獄に落ちるよということを読み聞かせする本なんですが。その背景にほぼ描いてあるんですね。それを、部屋の四隅にぐるっと描いたらどうかなと思って。壁一面に絵を描いてそれを背景に撮影して。それによって、独特の空気感、閉塞感というのかな、が出ましたね。役者さんも本当に地獄で撮影してるんだっていう臨場感が出てテンション上がったみたいで、すごく良い方にはたらきましたね。

セットで広さを演出するために、美術さんが遠くにあるものを小さく作るなど遠近感を出す工夫をしてくれたんです。実は遠くにある学校は小さなミニチュアだったり。そういう細かいところも観てもらえたら面白いんじゃないかなと思います。」

学生からの質問・インタビュー

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続いて、クリエイティブ業界・エンターテインメント業界を目指す学生から事前に集めた質問のコーナーに。

Q.俳優として作品に参加する場合と、演出や監督をする場合、作品に対する姿勢に違いはありますか?

―宮藤監督 談―
「映画を撮るようになってからは、役者として現場に呼ばれたときには、役で呼ばれてるっていうことは映画の中ではひとつのパーツだと思うようにしています。役者として全体をみちゃうと面白く演じきれない。全体は読みますが、読んだ上であんまり映画全体を考えないようにしています。逆に撮ったり書いたりするときは役者として苦労した時のことを思い出すようにしています。言いにくいセリフや誰が言ってもいいセリフは避けるようにしたりとか。両方経験してるっていうのはすごく良いメリットがある。
若い頃に役者で呼ばれて困ったのは、「これおもしろくしてください」っていう丸投げをされたことが結構あって。「これおもしろくする必要ないよな」とか思っちゃって。逆にいま監督でやっている時は「俺の言う通りにやれ」とはぜんぜん思わない。役者さんがしっくりきてないときは顔に出るんです。そういう時に自分の考えてきたこと書いたことを捨てられるかどうかっていう。」

Q.裏方さんについてどう思っていますか?どんな裏方さんと一緒に仕事をしたいと思いますか?

―宮藤監督 談―
「映画業界で働いてる裏方さんなんてもう、本当に頭が上がりませんよ。平均2時間ぐらいしか寝てないっていうんだから。まぁ僕のせいだって言われましたけど(笑)彼らが何をやりがいにしているかと言えば、僕が言うのはおこがましいですが、監督の描いているものを実現することが喜び、モチベーションだと思うんです。そういうスタッフと関わる時は妥協しちゃいけないと思っています。だから、まぁこんなもんで。っていうのは無しですよね。映画ってその日だめだったらずっとそれが残っちゃうんで。もうちょっと俺のイメージはこうなんだけどって伝えるようにしています。

もう一回仕事をしたいと思うのは、今回の映画の美術さんもそうなんですけど、僕にはない発想を出して僕をびっくりさせてくれる人。監督の意図を汲んだ上でプラスアルファを出してくれるって素晴らしいですよね。例えば画面には映らないような小さな細かい部分とか、そんなことまでやってくれるの?っていうところまでやってくれる。画面には映らなくてもそのセットで演じる役者さんのモチベーションや演技には影響するんですよね。それでさらに良いものが撮れる。

それぞれのスタッフは自分の仕事が画面に映るっていうことの喜びとプレッシャー両方と戦っていると思うんです。モニタではわからないところもスクリーンの大画面でみたらわかったりする。

つながりは短期間だけどこの作品が終わったらもうお別れなんだと思うから映画の撮影スタッフは濃いつながりになるんです。」

Q.そういう世界(エンターテインメント業界)に入りたい若者はどうやってチャンスをつかめばいい?

―宮藤監督 談―
「最初から仕事ができるやつなんていないんです。最初やることは小さなことからだけど、場数だと思います。最初はできないのが当たり前なんです。できない自分をひけめに感じたり、俺なんか・・・って思っちゃうのは本当にもったいないです。迷惑かけちゃうかも・・とか思って引っ込まずに参加した方がいいです。教えてくれる先輩と教えてくれない先輩がいるので、そこは早めに見極めた方がいいかと(笑)」

Q.高校生のうちにやっておけばよかったなと思うことは?

―宮藤監督 談―
「恋愛。(笑)高校三年間恋愛をしなかった。男子校だったんで。しなかったからこういう作品を作れてるんだけど、恋愛してたら今ぜんぜん違っただろうなと。逆に言うとそれ以外はすごい楽しかったから、高校が。何も後悔はしてないですね。楽しかったなぁっていうところに女子がひとりも出てこないのが、なんかやっぱりさみしいなって。だからやっぱり楽しんだ方がいいですよ。本や映画を見るのは後でもできるから。それはそれでやるべき時期があるんだけど。高校生の時は高校生活を楽しんだ方がいいと思いますね。だって40代で制服デートしたら変態ですから(笑)」

最後に学生にメッセージを

―宮藤監督 談―
「エンターテインメント業界は変な人が多いので、自分変だなと思っている人は大丈夫です。他の仕事をこなせる人は、他の仕事をした方がいいかも(笑)自分、変だな、変わってるなという気持ちをずっと持ち続けている人は幸せになれると思います。役者さん、監督、裏方など目指す仕事はそれぞれだと思いますが、仲間を大事にしてほしいなと思います。自分に才能あると思いたい気持ちはわかりますが、人づきあいも才能ですんで。仲間とのつながりは大事にしてほしいなと。僕なんかもいまだに大学の友達なんかと現場であったりなんかもするんで。みなさん頑張ってください!」

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映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は、2016年6月25日(土)より、札幌シネマフロンティア、ユナイテッドシネマ札幌ほか全道公開!

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』公式サイト http://tooyoungtodie.jp/

札幌スクール・オブ・ミュージック&ダンス専門学校 http://www.ssm.ac.jp/