マスキングテープデザイナーの個展に行ってみた
地味な存在だったマスキングテープがデザイン性のあるおしゃれなものとなり、巷では特に女性からの支持を得ていることに驚いています。
そして、日本では唯一であろう“マスキングテープデザイナー”の個展が札幌で開催されると知り、最新のマスキングテープ事情を肌で感じてきました。
日本で唯一?!職業“マスキングテープデザイナー”による個展
札幌市中央区南1条にある4丁目プラザ、通称“4プラ”の7階に到着すると、すぐにマスキングテープ展の会場が目に入った。
会場の入口に常備されていた名刺を手に取った時、私は衝撃を受けました。
そこに書いてあったのは「マスキングテープデザイナー」という肩書き。
単なるデザイナーではなく、“マスキングテープ”と明確に表記してあることについて、“マスキングテープデザイナー”のSaikawaさんにお話を聞いてみた。
「マスキングテープにデザインをされている方は多数いらっしゃいますが、表現をする媒体の一つがマスキングテープになっていることがほとんどです。しかし、私の場合はマスキングテープにデザインをするためにデザインをしていることと、マスキングテープのデザインをして販売することを職業としているため、明確に“マスキングテープデザイナー”と名乗っています。そして、職業“マスキングテープデザイナー”は日本では私だけだと思います!」
まさに日本で唯一のマスキングテープデザイナーさんと直接お話をさせていただいていると思うだけで嬉しさがこみ上げてきます。お話を伺っているだけで、Saikawaさんのマスキングテープデザインに対する熱い思いが強く伝わってきました。
Saikawaさんの作品を一挙紹介!
2015年にデビューされたSaiwakaさん。本来であれば今回の個展はデビュー5周年を記念して昨年2020年に企画されていたものだったそうです。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、札幌が緊急事態宣言を発令し、外出制限をする事態となり開催を断念。
今回は感染防止策を万全に実施したうえでの開催として、入念に準備を進めてきたそうです。
デビューから6年を迎えたSaikawaさんの作品を通して、応援していただいている多くのファンの方々への感謝を伝える温かい会にしたい。そんな想いが込められています。
そんな想いのこもった作品を、写真にて一挙ご紹介させていただきます。
札幌の街を表現した作品。地元民に愛されている。
これだけの作品を見ていると、自分が見ているものがマスキングテープだということを忘れてしまいそうです。
数々の作品の中で皆さんのお気に入りは見つかりましたか?
メーカーによる質感の違い
マスキングテープと一言で言っても、製造しているメーカーは多岐にわたります。
デザインマスキングテープの世界では“カモ井”製の物が人気だそうで、Saikawaさんの作品のほとんどはカモ井製です。
印刷した時の発色具合やテープそのものの質感、テープの性能を決める“糊”の質が抜群に良いらしく、カモ井製は何度も張り直しが効く上に、糊が変に残らずキレイに剝がせるそうです。
Saikawaさんの作品で使用されているメーカー、二社目は“丸天産業”製。
カモ井に比べるとデザインマスキングテープの歴史は浅いとのことですが、なにより製造コストを抑えることができるのが特徴とのことです。
質感や糊の質はカモ井製に劣るところがあるらしいのですが、発色の感じやメーカーの印刷技術などで丸天産業さんらしい仕上がりになることで、デザインする幅も拡がるのだとか。
メーカーによって異なるマスキングテープ。その違いをぜひ一度お手に取ってご覧いただき、使用してみてはいかがでしょうか。
マスキングテープ展から感じたマスキングテープの可能性
昨今のデザイン性のあるマスキングテープブームは目を見張るものがあります。
私は技術の世界で生きてきた人間ですので、マスキングテープは主に塗装する際の養生やモノの位置決めをする際の仮止めといったことに使用するため、重要だけど地味な存在という印象を持っていました。そんなマスキングテープが、デザイン性のあるおしゃれなものとなり、老若男女、特に女性からの支持を得ていることに驚きました。
マスキングテープに対する固定概念を払拭させられた個展だったように感じます。
そして、Saikawaさんはマスキングテープに対する想いをこう語ってくれました。
「現在、マスキングテープブームということもあり、たくさんのデザイナーさんが作品を世に出していますが、ブームも落ち着き製作する人が少なくなった時でも、マスキングテープデザイナーの最後の一人として残っていたい。」
マスキングテープにかける熱い思いを感じました。
これからも、益々のご活躍を祈念しております!